看護スタッフ 田中有さん
大切にしたいのは、効率よりも患者さんの生き様。
「本人中心」支援の現場で、
実現したい想いがあります。
看護師になって5年目の田中有さん。
救命救急センターや、がんセンターでの勤務を経て、
現在は『ライフゆう』で看護スタッフとして働いています。
田中さんが今ここで生きることを選んだ背景には、
患者さん、そしてメンバーさんへの一貫した強い想いがあります。
一度は諦めかけた信念を貫いて『ライフゆう』に辿り着いた田中さんの言葉から、
『みなと舎』のスタッフに共通して流れる心の軸、
そして、メンバーさんの生き様を感じ取ってみてください。
救命救急センターや、がんセンターでの勤務を経て、
現在は『ライフゆう』で看護スタッフとして働いています。
田中さんが今ここで生きることを選んだ背景には、
患者さん、そしてメンバーさんへの一貫した強い想いがあります。
一度は諦めかけた信念を貫いて『ライフゆう』に辿り着いた田中さんの言葉から、
『みなと舎』のスタッフに共通して流れる心の軸、
そして、メンバーさんの生き様を感じ取ってみてください。
田中有さん
看護師・『ライフゆう』常勤看護スタッフ。昭和大学保健医療学部看護学科卒業。大学病院の救命救急センター、がんセンターでの勤務を経て2014年4月より現職。大学生の頃より、重症心身障害者の子どもたちが参加するキャンプ(NPO法人『難病のこども支援全国ネットワーク』主催)のボランティアスタッフとしての参加経験もある。
看護師・『ライフゆう』常勤看護スタッフ。昭和大学保健医療学部看護学科卒業。大学病院の救命救急センター、がんセンターでの勤務を経て2014年4月より現職。大学生の頃より、重症心身障害者の子どもたちが参加するキャンプ(NPO法人『難病のこども支援全国ネットワーク』主催)のボランティアスタッフとしての参加経験もある。
それって、メンバーさん中心?
ある日の『ライフゆう』でのこと。メンバーさんの歯ブラシ置き場が2つあることに、田中さんは疑問を感じました。口から食事を摂るメンバーさんと、口からではなく直接胃に注入するメンバーさん。それぞれに置き場を変えていたのは、「部屋が近い方が忘れないだろう」という理由からでした。「それはスタッフの都合であって、メンバーさんのためではないし、障害の重さで区別したくないな」。そう感じた田中さんは、場所をひとつにすることを提案。スタッフの話し合いの結果、次の日から、みんな一緒の置き場に変えることになりました。
歯ブラシの置き場なんて些細なこと、と感じる方もいるでしょう。メンバーさんがこのことを気にすることもないのかもしれません。でも、「一つひとつのことにこだわりを持ってやっていきたい」と、田中さんは言います。田中さんがこだわるのは、「メンバーさん中心で考えているか?」ということ。システムありきで行動するのではなく、常に中心にはメンバーさんがいて、それに合わせるようなシステムをつくるという姿勢。『みなと舎』の「本人中心」の考え方に深く共感してスタッフの一員となった田中さんの、強い信念が表れたエピソードです。
ジレンマの日々を乗り越えて
田中さんと『ライフゆう』の出会いは、オープン直前の2014年1月のこと。がんセンターでの勤務を辞め、次の職場を探していたとき、『ライフゆう』の見学に訪れました。それまで、大学病院の救命救急センター、がんセンターと、看護師としてのキャリアを積み重ねてきましたが、そこでは自分の看護観と一致しないジレンマを感じていたそうです。
“田中 僕が看護師として大切にしたいと思っているのは、救命救急センターの師長に教わった「2.5人称の看護」という考え方です。1人称は患者さん、2人称はご家族。3人称はそれ以外の人。看護師は3人称に当たって、家族に成り代わることはできないのですが、他人としてではなく、家族のような気持ちで関わっていたい。そんな「2.5人称」の視点で看護にあたっていきたいと思い、いつも「自分の親だったら?兄弟だったら?」と考えながらケアをしてきました。
でも救命救急センターでは、医療の技術的な知識など、すごく勉強になったのですが、命を救うことが最優先にされる職場で、「人を看ている」というよりは、「臓器を管理している」感覚がすごく強かったんです。モニターを付けて数字を追いかけて、波形を管理して……。救命医療にとっては、それが大事なことだというのは分かっていましたが、「この人の生き様ってなんだろう?」、「患者さんの心ってどこにあるんだろう?」、って疑問を抱いていました。”
そして転職先として田中さんが選んだのは、がんセンター。「終末期のケアにゆっくり関わって看護を考えよう」という想いを胸に働き始めましたが、配属された病棟は、消化器内科。常に時間に追われ、患者さんよりも業務の効率を優先せざるを得ない現場に再びジレンマを抱え、「“2.5人称の看護”を実現するのは無理なのだろうか……」と、諦めにも似た気持ちを抱いていたそうです。 そんな頃に見学に訪れた『ライフゆう』。ここで出会ったのが「パーソン・センター」という考え方でした。
“田中 日本語で言えば「本人中心」。理事長の飯野さんが、「まずメンバーさん中心で物事を考えていきたい。システム・センターではなくパーソン・センターなんだよ」と仰っていて、業務中心ではなく患者さんの在り方や生き様を大切にする「2.5人称の看護」と同じものを感じました。僕もここでお世話になって、本人中心で組織を運営していくこと、看護をやっていくことがどういうことなのか学びたいと思い、「ここに賭けよう」と飛び込んでみました。”
こうして『ライフゆう』への転職を決意した田中さん。看護師5年目、これまでの医療現場から離れ、福祉の現場に身を置く、大きな決断でした。
「2.5人称」の実現を目指して
2014年4月、『ライフゆう』のオープニングスタッフとして働き始めて7ヶ月。冒頭でも触れた通り、常に「本人中心」を心の軸として行動し、新しい施設のシステムづくりにも積極的に参加している田中さんに、現在の心境を聞きました。
“田中 やはり全てゼロからのスタートなので、大変ですね。でも、何もないからこそ、メンバーさんを中心にした「パーソン・センター」の仕組みを作れるのかな、と思っています。歯ブラシの置き場ひとつにも、やっぱり意味がある。常に、「これはメンバーさん中心か?」と自問自答するようにしています。言いたいこともどんどん言える環境で、今すごくやりがいを感じていますし、ここに来てよかったな、と思っています。”
『ライフゆう』で働くことをきっかけに、故郷の横浜から横須賀に引っ越した田中さん。まさに人生の転機を迎えた今、その目に映っているのは、やはりメンバーさんのこと。
“田中 今はとにかく、学びのとき。本人中心とはどういうことか、メンバーさんたちから教えてもらおうと思っています。まだオープンしたばかりなので、食べて、寝て、お風呂に入って……といった生活を実現するのに精一杯なのが現状です。でも、忙しいながらも、ひとつひとつ立ち止まって、他愛のない会話もオムツ交換も丁寧にやっていき、メンバーさんの生きがいや暮らしの楽しみを、メンバーさんと一緒に叶えていきたい。そして、「本人中心」支援の中で、「2.5人称の看護」の実現を目指していきたいな、と思います。”
一貫した想いを持ち続け、辿り着いた『ライフゆう』の現場に立つ田中さんの言葉に、もう迷いは感じられません。看護師として、ひとりの人間として。田中さんの人生の旅は、メンバーさんの人生と共に、これからも続いていきます。
(2014年取材)
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